死別と心⑥~母親の喪失と娘~

バランスした心づくり

こんにちは、
さやはるvedaのさやかです。

今回は、
愛する対象を亡くす中でも、
母親の喪失が娘の心に与える影響
についてまとめます。

母親の喪失と娘

死別の心⑤でも書いたように、
死の受容プロセスは、
環境や人間関係によって
大きく異なります。

その中でも、
娘にとって母親は
人生の鏡であるといわれるように、
娘が母親を失うことは
心に大きな影響を与える場合が多いです。

どのような影響があるのか、
様々な視点からまとめていきます。

(ここでまとめていくことは、
母と娘のみならず、
親を失った子供全てに
当てはまることも入ります。)

娘の年齢

母親と娘の関係において
母親の死がもたらす影響は、
娘がどの時期に母親を喪失するか
にも大きく関係します。

例えば
10-20代以前における喪失と、
30-40代以降になってからの喪失は
全く異なります。

一般的に、
30-40代以降に比べると、
10-20代以前の方が、
母親の死から受ける影響力は大きいです。

それには、
2つの理由があります。

【1つ目】は、
受容までのプロセスに
必要な能力が欠如しているから。

特に20歳位までの
子ども欠けている能力としては、

・死についての理解
・自分の感情を表現するための言語能力と勇気
・辛い悲しみは長くは続かないという認識
・誰か母の代わりを見つけるまで、
失った母親から自分自身へと心のよりどころを移す力

などが挙げられます。

この中でも、
「母親から自分自身へと
心のよりどころを移す力」の欠如は、
最も大きな影響となるようです。

【2つ目】は、
母親との距離が近いこと。

子どもが幼いほど、
母親から自立できていない、
母親に依存している状態です。

母親の存在が
物理的にも精神的にも近くなるので、
その存在を失った時、
その心のよりどころを
どこに向けたらいいのか分からず、
受容プロセスに時間を要します。

特に、
自立や過去の捨て方を学ぶ時期
と言われる思春期以前、
あるいはその最中における喪失の場合、
精神成長面で母親の存在を必要としているため、
喪失が心に与える影響は大きくなります。

一方、
30代40代以降になると、
能力が発展し、
様々な角度から考えることができたり、
気持ちを表現したり、
現実を受け止める力が身についてきます。

また、
自分の生活を持つようになり、
一般的には母親から
物理的/精神的に自立できているため、
受容プロセスに与える影響が
比較的少ないと言われます。

娘が母親を必要とするとき

娘が母親を必要とする時とは、
生理の始まりや妊娠といったような
女性としての初めての経験をする時です。

母親のアドバイスが必要な人生の節目で、
母親を喪失してしまったり、
受容プロセスの途中だと、
母親の喪失が心により大きな
影響を与えてしまうことになります。

また、
受容の段階へ達していたとしても、
そうした節目に出会った時には、
悲しみが蘇ってきて、
辛く感じることもあります。

喪失した母親からの愛情の埋め方

親から精神的に自立する前の時期に
母親を失うということは、
母から愛情を注がれている時期に
その注いでくれる対象を
失うということになります。

それまで
多くの割合を占めていた母親からの愛情が、
突如として無くなるため、
その愛を母親以外の部分に求めることになります。

愛情を埋める1つの方法が恋愛です。

喪失した愛情を埋める欲求を
どのように周りや恋愛に求めていくかは、
3つのタイプに分けられます。

①安定タイプ

自分を含めた数種類の人間に
愛情要求を分散させることができるタイプ。

母親を喪失した後に、
安定した支えになる思いやり深い
保護者がいる場合、
子どもは愛に満ちた人間関係を
築けるようになります。

頼りたい気持ちを複数の違う人々、
友人・恋人を含めた様々な人間関係に
振り分けることで安定し、
より落ち着いた状態へ近づいていきます。

②不安・矛盾タイプ

恋人に愛情要求の大部分を求め、
その1人から
安心と愛情を得ようとするタイプ。

尽きない愛を欲しがり、
相手が自分へ100%愛を注いでくれていないと、
自分への愛に対して大きな不安を抱きます。

一方で、相手からの愛情を
突き放すような態度を取ることもあります。

これは、ほしいと思えばせがみ、
手に入らなければ地団駄を踏んで泣き叫ぶ、
幼児期の子供の態度と似ていると言われます。

相手を母親役と捉えてしまい、
相手に重荷になってしまったり、
母親と同じ愛情を受け取れないことに
どこか満たされず、
不安定な状態が続きます。

③敬遠タイプ

自分だけに頼り、
他人から心の距離を置くタイプ。

頼らず、愛さなければ、
喪失の辛さを味あわなくて済むと考え、
誰かに愛されたいと願っているのに
愛することを恐れてしまう。

親しくなる事と
喪失を直接結び付けてしまい 、
親密な関係を築けなくなります。

そのため、
恋愛からも逃げてしまうか、
恋愛が長続きしそうな兆しが見えると、
自ら関係を断ち切ることがあります。

以上のように、
それぞれのタイプがそれぞれの形で、
母から受けられなくなった愛情を
埋めながら生きていくことになります。

どのタイプにならなければならない
ということではなく、
その時その人に合った形で
必然的に愛情の代わりを求めます。

また、
死の受容プロセスと共に、
タイプも変わっていくと言われています。

女性を選ぶ娘

母を失った娘の中には、
恋人に女性を選ぶ人もいます。

それは、
母親からの愛情の代わりを求める欲求の中に、
失った人と同じ性への
強い憧れが芽生えるからです。

特に母親を重ねやすい
年上の女性に惹かれる傾向が強く、
男性からは得ることが出来ない世話焼きや、
いたわりを与えてくれる存在を
求めることがある様です。

また、
女性を求める背景として、

・母親の代わりが欲しい気持ち
・女性としてのアドバイスが欲しい気持ち
・女性のお手本が欲しい気持ち

といった女性にしか満たせない気持ちを
満たすことができるから
という理由も挙げられます。

母親が娘にとって特別な存在であるがゆえに、
その対象の代わりとなる対象が
女性にしか勤まらないと感じ、
母親の死をきっかけに同性愛者となる娘も
少なくないと言われます。

また、
子供が最初に深い絆で結ばれるのは
たいてい女性であり、
人が愛やいたわりを求めるときは、
まず女性の方へ行くそうです。

その意味で、
母親を失った娘が母親の愛を求める時、
それを他の女性の腕の中に見つけるのは、
ごく自然なことなのかもしれません。

娘が母親になる

早くに母を失った女性が母親になる時、
亡くした対象と同じ立場になるという意味で、
母親がいる女性が母親になる時とは
異なった情緒体験をします。

どのような差異や特徴があるのか、
まとめていきます。

①出産前

母親を失った娘の多くは
自分の子供に娘がほしいと願う
傾向があります。

母親の愛が奪われた
と感じている女性にとって、
娘は自分の母親と結びつくための
一番の近道だからです。

②妊娠中/出産

女性は妊娠中、
自分の誕生や赤ちゃんの頃について
母親から話を聞くことで、
自分も母親になれるという
自信をつけていくそうです。

そのため、
安定と支えを強く求める妊娠中に
母親がいない場合、
孤独を感じる事が多くなる様です。

また、
女性が子供を産むときには、
母親(のような存在)が
そばにいることが必要だと言われます。

妊娠中や出産までに、
母親と少しでも近い存在を
見つけることができるかどうかは、
母を亡くした女性が母親になる際、
とても重要な要素になります。

③子育て

子育てにおいても、
様々な情緒体験を経験します。

【同一視】
母親になりたての女性は、
自分と自分の子供を同一視すると同時に、
自分と自分の母親とを同一視します。

母親のいない娘の場合、
その相手がどちらか一方に偏ったり、
過剰に同一視してしまう傾向があります。

母親のいない女性が
子供を自分と同一視しすぎると、
子供に対して過剰に自己投影し、
自分の足りないところを補おうと
過保護になってしまいます。

逆に母親を自分と同一視しすぎると、
若くして死ぬことを恐れ、
子供に情が薄くなることがあります。

【不安と欲求】
母親を失った娘は、
子供を母なし子にするかもしれない
という不安を持ちます。

同時にそれは、
自分が送れなかった母親のいる子供時代を、
自分の子供には与えたい
という強い欲求にもなります。

これは子供に
悪影響を与えるものではありません。

むしろ、
失った母娘関係を味わうことで、
限りある時間を大切に過ごす意識となり、
良い影響を与えうるものです。

【育て方】
子育てにおいて、母を失った娘は、
母を失った際に身に付けた生き抜く術を、
いい面でも悪い面でも
育て方に応用して子育てをしていきます。

どのような受容プロセスを得たか、
死を通して何を学び、どう変化したか、
自分が生きる死生観や生き方、
そこからの学びを子どもに伝えます。

つまり、
母を早くに失った経験は、
その娘の子どもにも影響を与え、
子供からその子供へというように
世代を超えて影響していくものなのです。

(以上、2007年に書いた卒論より引用)

まとめ

私自身、
10代の娘として母親を亡くし、
様々な情緒体験を経験しました。

母親の代わりとなる愛情や
自分の愛情の矛先も探して、
残された家族・友人・恋人など、
人間関係においても、
様々な経験や段階を経験しました。

結婚・出産を経て、
子育てや自分の家庭の中で
母親との関係を見つめ直す中で、
また一歩深く母親の死を
見つめられていると感じます。

この17年間で学んだことが多すぎて、
私の人生は母の喪失なしには語れません。

それほど影響を与える親近者の喪失。
悲しみを焦らず、ゆっくりと向き合って、
受容までのステップを踏んでほしいと
心から願います。

今日も最後まで読んでいただき、
ありがとうございます。

悲しい想いをされている方へ、
少しでも生きる光になりますように。

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